大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

京都地方裁判所 昭和50年(わ)159号 判決

本籍

京都府綾部市物部町西桜ケ坪六番地の一

住居

同市神宮寺町重代四番地

会社役員

谷口岸男

大正九年八月三一日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官忠海弘一出席のうえ審理して次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役六月および罰金八〇〇万円に処する。

右罰金を完納できないときは金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、京都府綾部市西町一丁目二一番地ほか四か所に店舗を設け美容室及び装飾品販売を営んでいるものであるが、所得税を免れようと企て

第一、昭和四六年分の総所得金額は一五、四四〇、四三四円、これに対する所得税額は五、八八二、一〇〇円であつたのに、公表経理上売上金額の一部を除外しこれで架空名義あるいは無記名の簿外預金を設定するなどの不正な方法によりその所得の一部を秘匿したうえ、昭和四七年三月一五日福知山市字笹尾小字横サ一〇六の一所在の所轄福知山税務署において、同税務署長に対し、同年分の総所得金額が三、〇一三、八六四円、これに対する所得税額が三五八、七〇〇円である旨の虚偽過少な所得税確定申告書を提出し、よつて同年分の正当な所得税額と申告にかかる所得税額との差額五、五二三、四〇〇円を免れ

第二、昭和四七年分の総所得金額は三二、三一九、五〇七円、これに対する所得税額は一五、六一一、八〇〇円であつたのに、前同様の不正な方法によりその所得の一部を秘匿したうえ、昭和四八年三月一五日、前記福知山税務署長に対し、同年分の総所得金額が四、三一八、七六八円、これに対する所得税額が六八二、八〇〇円である旨の虚偽過少な所得税確定申告書を提出し、よつて同年分の正当な所得税額と申告にかかる所得税額との差額一四、九二九、〇〇〇円を免れ

第三、昭和四八年分の総所得金額は三三、九五七、三二三円、これに対する所得税額は一六、六五五、八〇〇円であつたのに、前同様の不正な方法によりその所得の一部を秘匿したうえ、昭和四九年三月一五日、前記福知山税務署長に対し、同年分の総所得金額が六、二九七、六二一円、これに対する所得税額が一、三九二、七〇〇円である旨の虚偽過少な所得税確定申告書を提出し、よつて同年分の正当な所得税額と申告にかかる所得税額との差額一五、二六三、一〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人の当公判廷における供述

一、収税官吏作成の被告人に対する質問てん末書一五通(検甲第六〇、第六一、第六三ないし第七五号)

一、被告人作成の供述書(検甲第六二号)ならびに検察官に対する供述調書(検甲第七六号)

一、被告人作成の確認書一一通(検甲第八、第九、第一二、第一三、第一五、第二二、第二六ないし第二九、第四五号)

一、福知山税務署長作成の証明書五通(いずれも添付所得税確定申告書写とも)(検甲第二ないし第六号)

一、収税官吏作成の査察官調査書八通(検甲第七、第一〇、第一一、第一四、第一七、第三一、第三二、第三九号)および調査報告書(検甲第一七号)

一、吉岡優子、今西喜代美、上倉園江、西川由利子、文野賢二、永井昭博、泉唯雄、四方稔、三嶋康博、谷山隆各作成の確認書(検甲第一八ないし第二一、第四〇、第四六、第四九ないし第五一、第五三号)

一、収税官吏作成の谷口和美、茂村益太、谷口美津子、今西美代子(二通)、村木三代子、西川由利子(二通)、臼井奈津江、上倉園江、竹谷泰子、三沢久美子、小玉順、泉唯雄、浜田ふさ子に対する各質問てん末書(検甲第二三ないし第二五、第三三ないし第三八、第四一、第四四、第四七、第四八、第五五、第五六号)

一、段田梅夫作成の照会回答書(検甲第三〇号)

一、藤田博、小笹弥太郎、坂根幸作、上田順一、小笹玲子各作成の供述書(検甲第四二、第四三、第五二、第五四、第五七号)

一、押収の借用証一通(昭和五〇年押第一一一号の一)、不動産契約書二通(同号の二、三)、工事請負契約書一綴(同号の四)

(法令の適用)

判示各所為につき、いずれも

所得税法二三八条一項(懲役と罰金を併料)

判示各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから、

懲役刑につき、刑法四七条本文、一〇条(判示第三の罪の刑に加重)

罰金刑につき、刑法四八条二項

労役場留置につき、刑法一八条

懲役刑の執行猶予につき、刑法二五条一項

(裁判官 家村繁治)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例